子育てが一段落したあと、特別な出来事がないにもかかわらず、気持ちが落ち着かなくなると感じることがあります。
生活に余白が生まれることで、それまで意識の外に置かれていた感覚が、表に出てきやすくなる時期でもあります。
忙しさの中では気づかれにくかった不安が、時間や気力に余裕ができたことで、自覚されやすくなる場合があります。
子育て中は、日々の役割や判断の軸が比較的はっきりしています。
目の前の予定をこなすことが生活の中心になりやすく、立ち止まって考える余裕そのものが限られている状態とも言えます。
そのため、子育てが一区切りついたあとに、「これから何を軸に生活を組み立てていけばよいのか」が見えにくくなることがあります。
また、子どもを中心に構成されていた生活は、子育ての終了とともに形を変えていきます。
家庭内での役割や人との関わり方が少しずつ変化し、その変化に気持ちの整理が追いつかないと感じる人もいます。
不安の正体が、将来そのものではなく、役割の変化に対する戸惑いである場合もあります。
さらに、子育てが終わる時期は、年齢的にも将来を意識しやすい時期と重なります。
老後、健康、働き方など、これまで個別に存在していたテーマが、同時に意識に上がりやすくなります。
それぞれは新しい問題ではなくても、重なって見えることで、不安として強く感じられることがあります。
こうした状態にあると、「気持ちが弱くなったのではないか」「考えすぎているだけなのではないか」と、自分を評価してしまうこともあります。
しかし、生活の中心が変わる節目に、不安が表に出てくること自体は特別なことではありません。
それまで支えになっていた構造が変わったことを、自然に認識し始めている状態とも考えられます。
子育て後の不安は、すぐに解消すべき問題として扱う必要はありません。
無理に前向きな意味づけをしたり、新しい目標を急いで見つけたりしなくてもよいでしょう。
不安が生まれている背景を、少し距離を置いて整理してみることで、感じ方が変わる場合もあります。


