人間関係の中で消耗し、距離を取るようになる人は珍しくありません。
関わりを減らしたことで、以前ほどのつらさは感じなくなったとしても、
気持ちが完全に落ち着いたとは言い切れない状態が残ることがあります。
そうした感覚に戸惑うケースも見られます。
距離を取るという選択は、
関係を終わらせる決断とは異なります。
別れたわけでも断絶したわけでもなく、
これまでと同じ関わり方が続けられなくなった、
という変化に近いものです。
関係が続いているのか、終わっているのか。
白黒をつけられない状態では、
考えどころを見失いやすくなります。
関係を続けていれば不満や違和感は明確になり、
終わらせていれば喪失として整理できます。
そのどちらでもない状態では、
判断の軸が見えにくくなります。
距離を取ったあとに生じやすいのは、
「これでよかったのか」という確認のしづらさです。
選択が正しかったのかどうかを、
出来事や感情だけで測ることは難しくなります。
距離を取ることで、
自分の立ち位置が曖昧になる場合もあります。
期待しないと決め、説明もしないと決めたとしても、
完全に無関心になれるわけではありません。
その中途半端さが、
違和感として残りやすくなります。
この状態は、失敗や未練とは限りません。
関係を壊さずに自分を守ろうとした結果である場合もあります。
分かり合おうとすることはやめたものの、
切り捨てることも選ばなかった。
その間にある状態は、
決して特別なものではありません。
距離を取ったあとに感じるつらさは、
「何かを誤ったサイン」とは言い切れない場合もあります。
むしろ、関係の前提が変わった直後に生じる、
一時的な不安定さとして現れることも多いものです。
関係には、
簡単に名前をつけられない段階があります。
続いているとも言えず、
終わったとも言えない。
その曖昧さを抱えたまま、
日々を過ごしている人もいます。


