老後のことを考えていると、まだ何も決まっていないはずなのに、早く何かを決めなければいけないような気持ちになることがあります。実際には期限があるわけでもないのに、気持ちだけが先に追い込まれていくように感じられることも少なくありません。
考え始めたばかりの段階なのに、結論を出していないこと自体が不安になる。そんな状態に戸惑うことがあります。準備が遅れているわけでも、怠けているわけでもないのに、なぜか焦りだけが強くなる感覚です。
この焦りは、現実的な締め切りがあるから生じているとは限りません。老後というテーマが、「いつか決めなければならないこと」を多く含んでいるため、考え始めた時点で結論まで一気に意識が飛びやすくなります。
老後について考えるとき、住まいやお金、働き方、体のことなど、将来に関わる選択肢が同時に並びます。それぞれは今すぐ決めなくてもよい内容であっても、まとめて意識に入ることで、「今のうちに決めておくべきではないか」という感覚が強まりやすくなります。
判断の時期が定まらないまま考え続けていると、決めていない状態そのものが落ち着かなくなります。考えている途中段階よりも、「まだ決めていない」という事実に意識が向き、気持ちが追い立てられるように感じられることがあります。
こうしたとき、早く答えを出せない自分を責めてしまう人もいます。しかし実際には、判断を急ぐ必要がある状況ではなくても、「老後」という言葉が持つ重さによって、決断を迫られているように感じている場合もあります。
老後のことを考えていると、早く決めなければいけない気がして苦しくなるのは、現実の期限ではなく、将来全体を一度に見ようとしていることが影響しているのかもしれません。
いま感じている焦りは、何かを怠っているサインというよりも、考える範囲が一気に広がっている状態に近いものです。
※この記事は、シリーズ「老後の不安を、そのまま辿る」の一部です。
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