老後のことをしばらく考えない時間が続いたあと、ふと「このままでいいのだろうか」と不安が浮かぶことがあります。意識的に避けていたわけでもなく、ただ考えていなかっただけなのに、急に気持ちがざわつく。そんな瞬間に心当たりがある人もいるかもしれません。
考えるのがつらくなり、距離を取っていたはずなのに、今度は「考えていない自分」が気になってくる。向き合わずにいる状態が、何かを先送りしているように見えてしまうことがあります。
このときに生じている不安は、再び強い危機感が戻ってきたというより、「考えていない状態が続いていること」への落ち着かなさに近いものです。老後というテーマは、意識から外れている時間があるだけで、不安として立ち上がりやすい側面があります。
何も考えていない時間があると、「ちゃんと向き合っていないのではないか」「また逃げているのではないか」と、自分に問いを向けてしまうことがあります。その結果、休んでいるだけの状態が、止まっているように感じられることもあります。
ただ、考えない期間があること自体が問題になるわけではありません。これまで考え続けてきたからこそ、一度距離を取る時間が自然に生まれている場合もあります。
老後について考えることと、常に考え続けることは同じではありません。考えない時間が挟まることで、次に向き合うときの負荷が下がることもあります。
しばらく考えていなかったことに気づいて不安になるのは、無関心になったからではありません。関心があるからこそ、「考えていない状態」にも意識が向くのだと捉えることもできます。
今感じている不安は、立ち止まりすぎているサインというより、向き合い方を調整している途中で生じる感覚に近いものです。
※この記事は、シリーズ「老後の不安を、そのまま辿る」の一部です。
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