老後のことについて、もう考えなくなったと思っていたのに、ある日ふと、また考えている自分に気づくことがあります。特別なきっかけがあったわけでも、改めて向き合おうと決めたわけでもありません。気づけば、頭の片隅に自然と浮かんでいる。そんな感覚です。
以前のように強い不安が前面に出てくるわけではありません。調べようとして身構える感じでもなく、答えを出そうとしている状態とも少し違います。ただ、生活の流れの中で、ふと意識に上ってくることがあります。
考えることから距離を取っていた時間があったからこそ、今の考え方は以前と少し変わっているのかもしれません。かつては重く感じていた話題が、同じ形では戻ってこない。感情を大きく揺さぶられずに浮かぶ、その違いに気づくこともあります。
何かを決めようとしているわけでも、結論を出そうとしているわけでもありません。ただ、考えが自然に現れては、また日常に戻っていく。その繰り返しに近い状態です。
老後への不安がなくなったわけではありません。ただ、考え始めた瞬間に気持ちが乱れたり、引きずられたりすることが減っている。その変化は小さく見えても、以前とは状態が違ってきていることを示しています。
考えるのをやめていた時間は、無駄だったわけでも、後退だったわけでもありません。その期間があったからこそ、また考えられる位置に戻ってきている場合もあります。
老後のことを、いつの間にかまた考え始めているとき、それは元に戻ったというよりも、少し違う場所から向き合い直している状態と捉えることもできます。
今浮かんでくる考えは、結論を出すためのものではありません。生活の一部として、静かに混ざり始めている途中の感覚に近いものです。
※この記事は、シリーズ「老後の不安を、そのまま辿る」の一部です。
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